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「そういうものだ(So it goes)」が繰り返し出てくる戦争SF小説のタイトル

戦争を描いたアメリカのSF小説で、登場人物が死ぬたびに「そういうものだ(So it goes)」というフレーズが繰り返される作品があるらしい。時間を行き来する主人公が出てきて、ドレスデン爆撃の体験が描かれるという話を聞いたことがある。20世紀アメリカ文学の名作で、ヴォネガットだったような気がするが作品名が出てこない。
A
正解です。カート・ヴォネガット(Kurt Vonnegut Jr.)の代表作『スローターハウス5(Slaughterhouse-Five)』(1969年刊行)です。20世紀後半のアメリカ文学の最高峰の一つに数えられる反戦SF小説です。

【作品の概要】
主人公ビリー・ピルグリムは第二次世界大戦中にドイツ軍の捕虜となり、ドレスデン大空襲を生き延びます。戦後はアメリカで眼鏡技師として暮らしますが、ある日「時間からはぐれてしまう(unstuck in time)」現象に襲われ、自分の人生のあらゆる瞬間(誕生から死まで)を順不同で経験するようになります。さらにトラルファマドール星人に誘拐されて宇宙動物園に展示される、という荒唐無稽な要素も含む奇妙な構成です。

【「So it goes」の意味】
作中で誰か(人間・動物・無生物含む)の死が描かれるたびに、ナレーターが「So it goes(そういうものだ)」と呟きます。総数100回以上登場するこの定型句は、トラルファマドール星人の時間観(過去・現在・未来は同時に存在し、死もまた瞬間的な状態に過ぎない)を反映しています。膨大な死を淡々と受け流すことで、戦争の不条理さと人間の無力さがかえって浮かび上がる構造です。

【ドレスデン爆撃の実体験】
ヴォネガット自身が1945年のドレスデン爆撃を捕虜として生き延びた経験を持ち、本作はその実体験を23年かけて消化した自伝的作品でもあります。冒頭の章では作家本人が登場し、なぜこの本を書くのに長い時間が必要だったかを語ります。

【文学史的位置付け】
ポストモダン文学・SF・反戦小説のいずれの観点からも傑作とされます。タイム誌の「20世紀英語小説100選」にも選出されました。1972年に映画化もされています。

【関連作品】
ヴォネガットの他の代表作として『猫のゆりかご』『タイタンの妖女』『ガラパゴスの箱舟』があります。彼独特のブラックユーモアと反戦・反権威的な姿勢を貫いた作家として、現代まで愛され続けています。

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